物件を選定するときに価格・立地は当然として、間取りや景観について基準を持って選んでいますか?
全く気にせず購入するような方はいないと思いますが、どういう間取りがいいのかについて見ていきたいと思います。
間取りの良し悪し
ここでは私がよく購入しているワンルームの間取りについて、例を挙げて解説していきたいと思います。ワンルームマンションは全ての基本だと思っており、以下の検討項目でのチェック自体はファミリー用や戸建てにも応用出来ると思います。
まず結論から書きますと、以下の6項目を確認しましょう。
①3点セパレートの物件か。
②靴箱、洗濯機、冷蔵庫の置き場所はあるか。収納(クローゼット)はあるか。
③バルコニーからの景観はどうか。階層は何階か。(圧迫感、電柱等)
④騒音はどうか。
⑤角部屋の場合、バルコニー以外の採光箇所があるか。
⑥長方形以外の間取り、ロフトの有無、デザイナーズマンションではないか。
そして、これらの要素から物件としての価値を算定し、割安であれば買付を入れましょう。立地だけでなく、建物特有の要素を加味することで、不動産の価値をより正確に把握できます。
順に①から説明します。
①一番重要なのは水回りです。対象物件がシェアハウス等でなければ、ユニットバスかセパレートとなります。当然賃貸需要は家賃や専有面積が同じであれば、ユニットバス<2点セパレート<3点セパレートの順に高くなります。(中にはユニットバスが全く気にならず、部屋の広さを重視する人も居ますがレアだと思います。)
最低でも2点セパレート、可能な限り3点セパレートを選びましょう。不動産が立地で決まるのと同じで、水回りもフルリフォームしない限り変えることが出来ませんので重要です。ユニットバスの物件はそもそも建てられた時期が古く、借り手をかなり限定してしまうため、家賃が取れません。そのエリアに人気が無くなってくると真っ先に空き物件になる候補となります。利回り10%超えで5年程度の短期しか所有予定がないのであれば別ですが、長期保有で投資する場合は物件自体の競争力が高い物件を選んでおくが重要ですから、最低でもセパレートをオススメします。
また2点セパの物件を選ぶ場合は、付近の3点セパの物件よりも最低でも月2~3千円低い家賃で採算計算しておきましょう。
※1 ユニットバスの何が嫌なのかについても説明しておきますと、ユニットバスに住んだことがある人は分かると思いますが、トイレとお風呂が同じ場所にあるとどうしても湿気等で不衛生になりがちで、お風呂に入るときに臭いが気になります。またお風呂の湯船に湯をはると、トイレの便器があるため体を洗うスペースがなく、とても窮屈なため、湯船に湯をはらなくなります。つまり湯船はあるのにシャワー生活となることが多いです。そのため、個人的にはユニットバスの物件は絶対に住みたくないというのが本音です。しかし、家賃が安ければ住んでもいいと思う人や住まざるを得ない人も居るわけで、投資先としてユニットバスがダメという訳ではありません。(私はオススメしませんが)
※2 2点セパレートというのは下図でいうと左の間取りになります。3点セパレートは右図のような間取りで、洗面所がトイレやお風呂と完全に独立している間取りのことで、一番人気があります。歯磨きや手洗いのときに、お風呂やトイレが横にあるよりかは、完全に独立している方が気持ちよく使うことが出来るから当然ですよね。とはいえユニットバスに比べ、2点セパ(洗面台がお風呂内にあるorトイレと同じ部屋にある)は許容できる人も多いと思いますので、相場よりも安ければ「アリ」だと思っています。
②靴箱、洗濯機、冷蔵庫の置き場所と収納の有無
基本的に靴箱、冷蔵庫、洗濯機の置き場所がない物件というのはかなりレアだと思いますが、たまにそれ用の場所がない物件があります。あったとしても上図の左のように冷蔵庫を居室に置くようになっていたり、キッチンの下にビジネスホテルで見かけるミニ冷蔵庫が設置されているパターンがあります。こういう物件は使い勝手が悪いため、内覧をされた場合に選ばれない可能性があるため減点対象です。例えば上の例であれば、料理をする場合に居室のドアを開けておく必要があり、夏や冬でエアコンを使用しているときにとても不便です。またキッチン下にミニ冷蔵庫を設置する間取りの場合、その冷蔵庫が故障した場合にその寸法と同じ冷蔵庫を調達することが難しく、実質食器収納として使用するしかなく、冷蔵庫を別置きする必要があるため、居住スペースが減ってしまいます。
他にも洗濯機をバルコニーに設置するタイプの間取りでは、洗濯機が常時風雨に晒され劣化しやすいため敬遠されがちです。また乾燥機付き洗濯機を所有していて屋外に干さないタイプの人からすると、屋外に洗濯機置き場があるのは不便でしかありません。また、お風呂と隣接しているとポイントは高くなります。上の例ではどちらも離れていますが、隣接していると風呂水洗いができるため、節約志向の人には喜ばれます。しかし、ワンルームでは長方形の間取りが圧倒的に多く、部屋幅や面積の制限から風呂と洗濯機、洗面所を隣接させることが難しいため、これらがファミリー用のように隣接している物件はほとんどありません。隣接している物件があれば、高く評価してもいいと思います。物件は住みやすさが正義ですので、満足度が高い物件は価値が高くなります。
靴箱(SB,シューズボックス)がないタイプの部屋も注意が必要です。上の例では両方とも外開きタイプの玄関ドアですが、内開きタイプの部屋で靴箱がないと非常に住みにくいです。日本は基本的に外開きで設計されていることが多いですが、ヨーロッパなどは内開きが多いですし、東日本大震災の津波やゲリラ豪雨などの場合は外開きは開けられなくなって避難できなくなってしまうため、あえて内開き設計しているアパートもありますので、購入時は確認しておきましょう。
収納(クローゼット)の有無ですが、たまに見るのが電気給湯器が陣取っていて、収納がないパターンを見かけます。収納がないと入居者がクローゼットや箪笥を所有する必要がありますし、衣装ケースなどの場合は部屋の中で丸見えになるので良くありません。何より部屋が圧迫されますし、収納がない部屋はかなり敬遠されると考えた方がいいでしょう。元々住居用ではなく、事業所用として使用されていた部屋を住居用へ転用改装した部屋などがこのパターンになる場合が多く、相場より安く売り出されているのを見かけますが、購入は十分検討してからにしましょう。ちなみに私は収納がない部屋は買わないです。
③バルコニーの日当たり・景観はどうか。
不動産投資する場合、部屋の景観は二の次と思います。かくいう私も格安物件が出てきた場合、ここまで検討せずに買付を出したこともあります。都心ワンルームでは間取りは住みやすさに直結しますが、景観と日当たりは+αの部分ですので上記①~③と比べるとそこまで重要視はしていませんが、住む人にとってはそれなりに重要な項目だと思っています。
日当たりはファミリーマンションや戸建てでは重要ですが、ワンルームに限れば意外にそこまで重要ではありません。というのも部屋には帰ってきて寝るだけの人や洗濯物を干さない人にとっては、日当たりはあまり重要ではないのです。とはいえ、日当たりがいいことに越したことはありませんし、日当たりがいいワンルームは競争力が高くなるのでそれだけで+評価しています。
また景観も人によっては重要になってくることがあります。特に2~4階の物件で目の前に電柱がある物件は女性が敬遠しますので、現地調査するかGoogleアースで調べておきましょう。電柱があるから即NGではありませんが、競争力が下がりますので相場より安い家賃を想定しておきましょう。またバルコニーの目の前にビルが立ちはだかっていて、閉塞感があるマンションも競争力が低くなります。逆に周辺にたまたま低層ビルしかなく、景観が突き抜けている物件はプラス評価です。将来高層ビルが建つ可能性もあるので絶対安心ではありませんが、相場よりも高くで貸し付け出来ます。特にバルコニー方向に公園や川などがある場合は最高ですし、高速道路や線路だと少し騒音が気になるものの景観は間違いなく保たれるため、私は相場より少し高くても買付を入れています。
④騒音はどうか。
騒音については実際に住まない限り分からないというのが実態です。しかし、それなりのRCマンションであれば大丈夫なボーダーはあります。完全な個人的意見にはなりますが、線路沿い、主要国道沿いにバルコニーが面している物件であっても7階以上であれば騒音の影響なしと判断しています。「9.物件の選び方4(実際に見てみよう)」にも記載していますが、中には防音設計しているマンションもありますので、築浅RCであればそこまで気にしなくてもいいかもしれません。ただし、客付け目線で考えると線路沿い・主要国道沿いの低層階は物件の閲覧自体を敬遠される可能性があるため、少し低めの家賃で採算計算しておく方がいいかと思われます。
⑤角部屋の場合、バルコニー以外の採光箇所があるか。
角部屋の良さは隣が1軒しかないため騒音リスクが低いことと、自宅前を通るのが自分だけのためプライバシー的に落ち着くといった点が挙げられます。他にも台所やお風呂に換気・採光用の窓があったり、バルコニーが広かったりすることもあり、何かと重宝されます。これらの経緯から角部屋だとそれだけで家賃が+2~3千することが多いので有利ですが、大手のマンションだと角部屋と中部屋で間取りに差異がないように設計されていることが多く、角部屋ならでは利点がないこともあります。そのため、角部屋なのに他の部屋と間取りやバルコニーが変わらないのであれば、採算計算は通常の部屋として計算しておきましょう。逆に角部屋ならではの特典があるのであれば、その分を織り込んで計算するのがいいと思われます。私は角部屋好き派なので、少々家賃が高くなっても角部屋を選びます。そのため、角部屋の査定には甘くなってしまう傾向が・・・(汗
⑥長方形以外の間取り、デザイナーズマンションではないか。
最後に例外パターンについてです。大抵のマンションは間取りの設計がしやすい長方形ですが、中には土地の関係で三角にせざるを得ない場合もあり、三角形の間取りの物件もあります。基本的に自分が住むことを想像してみて、支障がなさそうでかつ、広さもそれなりに(22m²以上)あれば大丈夫だと思っています。とはいえ、長方形の物件よりもプラス評価になることはないため、積極的に購入する必要はないでしょう。
長方形の物件であってもデザイナーズマンションと書かれている物件は注意が必要です。今までデザイナーズマンションを見てきましたが、本当にいいなと思える物件はほとんどないというのが私の経験です。私の経験を一般論にするのは少し乱暴ですが、今まで見てきてダメだったのは
①天井が3m以上ある
②バルコニー窓が異様に大きい、
③風呂の真上にロフトがある
④エレベーターから部屋までの通路上に階段がある
といったデザイナーズ物件です。それぞれ
①は冷暖房が効きにくく、光熱費が高くなります。(開放感はありますが)
②は特注カーテンが必要でこれも高く付きます。しかも転勤・結婚等して引越しても流用できません。
③お風呂の真上は換気口への配管があるのが普通です。替わりにロフトがあるとロフトの湿度が高くなりカビが生えやすいです。
④間取りではありませんが、引越屋泣かせですし、普段の生活でも何かと不便です。
といったデメリットがあり、継続して住むには良くなかったりします。そのため私は基本的にデザイナーズマンションを避けています。やはり大手デベロッパーが建てたマンションが鉄板です。万人受けするマンション=住みやすいマンションだと思います。
今回は間取りについて書きましたが、何かお役に立てる知識はあったでしょうか。間取りにこだわりをもってマンションを選定していると、自分で家を建てるときにも活かせると思いますし、不動産投資を行う際には気に掛けて見て下さい。では~。
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